かきがら掌編帖

数分で読み切れる和風ファンタジー*と、読書・心理・生活雑記のブログです。

炊飯器で小豆あん

 

昔、両親が健在だったころ、わが家のあんこ作り担当は父でした。祖父が一時「あんこ屋の職人」をしていたそうで、作り方を教わったと聞きました。

お彼岸には、大きなお鍋いっぱいの小豆あんを使い、家族総出でおはぎをこしらえるのが年中行事でした。

父が指定していた小豆の品種は「大納言(だいなごん)」。今回、調べて知ったのですが、大納言小豆は粒が大きく、色はきれいで味もよいという、高級ブランド小豆だったのです。

なるほど、母と一緒に買いに行くと、大納言を置いていない店もあり、

「こっちの小豆じゃダメなの?」

と尋ねたことを覚えていますが、凝り性の父らしく、作るからには最上級の豆がよかったのでしょう。

 

買ってきた大納言小豆は、新聞紙のうえに広げて品質チェックしました。黒っぽく変色した豆などを取り除くのですが、時代が時代(昭和)なので、まれに小さな石粒を発見することもあり、父に「よく見つけた」とほめられて、手柄を立てたような気分になったものです。

長時間つきっきりで小豆を煮ていた父の姿が、今も目に浮かびますが、いちばん強く印象に残っているのは、袋を逆さにしてザーッと投入する上白糖の量です。1~2袋は使っていました。

砂糖は水分子と結合しやすいため、その保水力であんこをしっとりとなめらかに保つそうです。さらに、カビや細菌が繁殖するのに必要な水分を奪う「脱水性」により、天然の防腐剤としての役割を果たすので、大量の砂糖を加えることは、理にかなった知恵だったわけです。

とはいえ、カロリーを気にする「お年頃」になった姉と私が、砂糖を減らすよう口うるさく要求した結果、父のあんこはだんだんと甘さひかえめになっていきました。

 

──というような、家族のあんこエピソードをなつかしく振り返りつつ、炊飯器で小豆あんを作りました。「あんこ作りモード」は搭載されていないので、自己判断でやってます。

 

ネットでいろいろ情報収集したところ、小豆あん作りには「渋切り/ゆでこぼし」が重要だとわかりました。

小豆の皮に多く含まれるタンニンなどの渋み成分が、アクとして溶け出したゆで汁を捨てるという工程です。これを1回から数回行わないと、あんこに渋みやえぐみが残るということでした。

しかし一方では、あえて渋切りをしない人もいます。

いわゆる雑味もそれほど気にならないし、むしろ小豆そのものの味わいが生きているあんこになるから、「こっちのほうが好き」という意見です。

あるいは、ゆで汁の味をみて、渋みが強ければ捨て、大丈夫ならそのまま使うという人もいました。

 

それぞれ、なるほどと思ったので、渋切りあり・なしで作ってみました。

【材料】

  • 小豆 150g
  • 水 600ml+α
  • てんさい糖(砂糖)70g
  • 塩 1~2g

 

【作り方】

① 洗った小豆と水700mlを炊飯釜に入れて、普通の炊飯モード(53分)で炊く。

 

 

② 炊きあがったら、渋切りする場合は、ゆで汁を捨て小豆がひたひたになるくらいの水を足して、ケーキモードで30~40分炊く。

渋切りしない場合は、そのまま保温モードで30~40分。

※ネットでは、再び炊飯モードで炊くというレシピがほとんどだったのですが、わが家の炊飯器は連続炊飯ができないタイプだったので、別機能を使いました。

 

 

③ 小豆がやわらかくなっているのを確認してから、てんさい糖と塩を入れ、さらにケーキモードで30分。

※てんさい糖(砂糖)を加えると、そのあと加熱しても豆がやわらかくならない、ということなので注意。ちなみに、よく煮えていない小豆は、かなり渋い味がします。

炊きあがりの見た目はぜんざいっぽい感じで、ゆるすぎでは?と思いましたが、つぶしながら混ぜているうちにしっかりしてきて、ちゃんとあんこになりました。

もし、それでもゆるい場合は様子を見ながら少しずつ加熱し、逆に固い場合はお湯を足して調整します。

 

(このときは固めだったので、少しお湯を足しました)

 

甘さひかえめの小豆あんができました。プレーンあんことしてそのまま食べたり、ケーキにトッピングしたりしています。

 

↑↑↑ 左が渋切りしたもので、右は渋切りなしのあんこです。

どちらも美味しかったですが、渋切りありのほうはクセがなく、渋切りなしは色も味も濃い感じがしました。

できあがった小豆あんの総量は450gくらい。すぐ食べる分以外は、小分けにしてラップで包み、フリーザーバッグに入れて冷凍しています。

 

ところで、小豆のゆで汁には強い抗酸化作用を持つポリフェノールビタミンB1、むくみに効果があるサポニンカリウムなど豊富な栄養素が溶け出しており、「あずき水」としてダイエットや健康のために飲んでいる人も多いらしいです。

次に作るときは、渋切りをしてもゆで汁は捨てずに有効活用しようと思いました。