春の定期健康診断を受診したところ、血圧で引っかかってしまいました──と6年前に記事を書いたのですが、今回また引っかかってしまいました。
産業医の先生と面談するにあたり、2週間分の血圧記録を作っておく必要があります。
前のとき購入した家庭用血圧計を物入れから探し出し、切れていた電池を交換して、朝と夜の血圧を測ってみると、明らかに6年前より数値が上がっていました。
先生に血圧記録を見ていただくと、微妙なラインらしく、「年齢的にもそろそろ降圧治療を始めたほうがいいかもしれないけれど、どうします?」という感じです。
現在治療中の病気の有無を聞かれたので、今年の4月からめまいの治療を続けており、耳鼻科の先生に血圧の件を報告したら、「降圧薬によってめまいが悪化する場合がある」と言われたことを伝えました。
それも踏まえて、まずはめまいの治療を優先し、回復してから降圧治療について考えましょうということで、ひとまず落着しました。
一難去ってもすぐまた一難が待っているような、気が重い状態ですが、こんなときこそ高血圧についてきちんと知るタイミングだと考え、本を探しました。以前、精神科医・作家の樺沢紫苑さんが、
病気について書かれた本を 1冊 通して読んでみる
とおっしゃっていたことを思い出したからです。
toyokeizai.net
「あなたはパニック障害です」と言われたら、パニック障害の本を1冊読んでみましょう。「あなたは糖尿病です」と言われたら、糖尿病の本を1冊読んでください。病気について書かれた本には、その病気の原因、治癒までの期間、治療の内容、生活習慣改善の方法、生活上の注意などが一通り書かれています。患者さんが抱く疑問はほとんど網羅されているので、その病気について必要な情報、知識の全体像が学べます。
《中略》
インターネット上の医療情報は玉石混淆で、役に立つ情報もある反面、完全な間違いも多く、そのまま信じると病気や健康を悪化させる情報も見られます。ネットの情報は安易に信用しないことです。
わからないことがあると、不安はどんどん大きくなります。必要な情報は自分から得るようにして、不安を減らしていきましょう。
──ということで読んだ1冊が、
『ゼロからわかる高血圧 聖路加国際病院の健康講座』
(聖路加国際病院:監修/西 裕太郎:著/世界文化社 2013/6/5)です。
目次を見ると、高血圧について知りたいことが網羅されていました。
Part1 高血圧を知る
- 血圧の仕組み/高血圧はどんな病気/診察・検査について/なぜ治療が必要なの?/高血圧と合併症/降圧目標を立てる
- 【コラム】低血圧は体に悪い?
Part2 血圧を下げる薬
- 薬の飲み方/降圧薬の種類/薬との相性
- 【コラム】女性・子どもの高血圧
Part3 生活習慣と血圧
- 生活改善で血圧を下げる/日常の血圧変動/生活習慣と血圧の関係/食生活で血圧を下げる/聖路加国際病院の献立例/運動を日常生活にとり入れる/運動を行う際のポイント
- 【お悩み解決Q&A】
あらためておもしろいと思ったのは、「白衣高血圧」(病院などで診察を行う際はつねに高い血圧値なのに、それ以外では正常な値をしめす特殊な高血圧)と、逆タイプの「仮面高血圧」というネーミング。私の場合、6年前は「白衣高血圧」だったわけですが、
「白衣高血圧」の場合は10年を経たとき、本格的な高血圧に移行する割合が大きい(およそ半数弱)というデータもあって要注意なのに加え、「仮面高血圧」では、原因が生活上のどの場面にあるかを予測するためにも家庭血圧を測る習慣が有効です。
との解説を読み、いよいよ本格的な高血圧に移行する時が来たのか…と覚悟しました。
降圧目標が一目でわかる表も載っていて参考になります。
※脳血管障害の人に関しては、血圧を極端に下げた場合、正常な脳神経細胞に血液がじゅうぶんに届かなくなり、なんらかの障害を起こす可能性がでてくるため、ガイドラインでも血圧の下げすぎに注意する旨が明記されている。
この本のなかで最も印象的だったのは、「高血圧治療はマラソン~何のための治療か」というところです。
高血圧の治療は、風邪などの治療と違って数日~1週間程度で済むものではありません。薬を飲むことをやめると、また血圧が上昇することも珍しくなく、長期間にわたって治療を継続しなければなりません。そのためには血圧を管理することの目的、すなわちゴールがどこにあるのかをつねに考えておくことが大切です。何度も触れているように、血圧管理の目的は「脳疾患、心疾患を起こさせないこと、それによる死亡を防ぎ、再発を防止する」ということ。もっというとリスクをなるべく減らすということです。そのためには、マラソンのように完走を目指して少しずつでも前進していく必要があります。
血圧の薬を一生飲み続けなければならない、と思うと不安だったのですが、降圧薬についてのくわしい解説を読み、「合併症によるリスクを減らすのがゴール」「生活習慣の改善、薬で治療しながら完走を目指しましょう」という言葉に触れて、かなり前向きな気持ちになりました。