かきがら掌編帖

数分で読み切れる和風ファンタジー*と、読書・心理・生活雑記のブログです。

2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

腱鞘炎の注射

親指の付け根が痛くなるド・ケルバン腱鞘炎を発症したのは、今年の6月下旬でした。しかも両手同時にです。 すぐに整形外科で診てもらうべきだったのですが、先延ばしにしてしまいました。 その頃ちょうど、頸椎椎間板ヘルニアの治療が終わったばかりだった…

サボテン人形の恋(創作掌編)

晶が学校から帰ると、めずらしく隼子叔母さんが来ていた。もう初冬だというのに、小麦色に日焼けしている。 「こんどは、どこの国へ行ってきたの?」 あいさつ代わりに聞いた。叔母さんは旅行が趣味で、休暇はすべて世界中を旅するために使っているのだ。 「…

たぶん最初の記憶と、つくった記憶

思い出せるいちばん古い記憶は、3歳前後に食中毒で入院したときのことだ。 夜、病室で目を覚ました私は、知らない部屋にいることにおびえて、ベッドを抜け出した。暗い廊下を歩いていくと、電気の明かりがもれている部屋がある。中に入ったら、そこには複数…

やさしいごはん(創作掌編)

八千代さんは長いあいだ、フレンチレストランで、オーナーシェフをささえるスーシェフとして働いてきました。いそがしさを苦にもせず料理を作り続けてきましたが、60歳を過ぎたある日、ふいに「潮時」を感じたのです。 幸いなことに、後を任せられるスタッ…

児童文学のなかのイマジナリーフレンド

イマジナリーフレンドという言葉を、読者登録させていただいている Emily-Ryu さんのブログ記事で、初めて知りました(ありがとうございます!) Wikipediaにも載ってました。 イマジナリーフレンド(英: Imaginary friend)とは、「空想の友人」のことであ…

あたたかい窓の明かり(創作掌編)

気持ちがふさぐとき、行き詰って出口が見えないとき、 (どこか遠くへ行きたい)と、思う。 けれど、人混みと乗り物が苦手で、そのうえ冒険嫌いな真希が、思いにまかせて旅立ったことは、一度もなかった。 今日も気ままに出てきたわけではない。 会社に電話…

鋏屋さん(創作掌編)

人通りの少ない殺風景な町角に、鋏屋さんはありました。 飾り窓には、はがねのラシャ鋏や、生け花で使う花鋏、片手におさまる握り鋏など、さまざまな種類が並んでいます。 真由子は、うす暗く見える店内をのぞいてから、店の扉を開けました。 「いらっしゃい…

排水口に物を落とした!

昨夜、食器洗いを終えた後のことです。 シンクの排水口に、長さ15センチくらいのお掃除ブラシを落としてしまいました。 ほんとに、あっという間の出来事。 排水口回りの溝を掃除していたら、ブラシの先がちょっと引っかかり、手から離れた瞬間、まさに弧を…