2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧
最初に出会ったル・グィンさんの物語は『ゲド戦記』3部作で、その後「米SF界の女王」であることを知り、一連のSF作品を読んだ。 『ゲド戦記』と同じくらい心に残っているのが、『風の十二方位』という短編集だ。 風の十二方位 (ハヤカワ文庫 SF 399) 作…
彫金の職人だった曾祖父が、ワタルの誕生を祝って作ったお守りがある。 干支のお守りだ。銀色の小さなヘビが、自分のしっぽの先に頭をのせて輪になっている様子が、ユーモラスでかわいい。けし粒ほどの目は、きらきらとしたオリーブグリーンの宝石だった。 …
少し前のことです。 午前2時過ぎ、マンションの部屋に設置されている火災感知器が鳴りました。 就寝中だったので飛び起きると、警報音の合間に、「同じ階で火災が発生している」という音声も聞こえます。 あわてて内廊下をのぞいてみたところ、2つ先の部屋…
「おにいちゃん、大雪だよ!」 といって、紗弥が起こしにきた。 窓の外が真っ白だった。毎年何度か降る雪とは、全然ちがう。 5歳になったばかりの紗弥には、初めての大雪だ。大きくみはった目が輝いている。 「見に行こうよ、今すぐ」 ふだんは聞き分けのい…
先月、河合隼雄さんについて記事を書いたとき、この『「出会い」の不思議』をまだ読んでいないことに気づき、タイトルにも引かれ、図書館から借りてきました。 「出会い」の不思議 作者: 河合隼雄 出版社/メーカー: 創元社 発売日: 2002/05 メディア: 単行本…
庭に咲く花を摘むことにあこがれて、翠は園芸を始めた。 土作りをした花壇に種や苗を植え、夢中で育てているうち、家じゅうに飾ってもありあまるほど、花があふれてきた。 それでも、次に咲かせたいと思う花は、尽きることがない。 友だちや知り合いにプレゼ…
前回の記事の〈つづき〉です。 toikimi.hateblo.jp ゲシュタルト療法のワークで、インナーチャイルド(内なる子ども)と出会った日、夜ひとりになってから、ふと、 (あのとき感じたイメージは、まさにリトルミイだった) と思いました。 突然、焦点が合った…
ゲシュタルト療法のワークショップでは、参加者のワーク内容、ワークショップ内で知り得る個人情報について、一切外部に漏らさないこと、本人の同意なしには、いかなる公表もしないことを約束します。 自分のワークについてなら公表できるので、備忘も兼ねて…
元日の朝は、よく晴れて、風が強かった。 どうしようか迷いながら、昌樹はまわり道を続けている。頑固な父親に反発して家を離れてから、久しぶりの帰宅なのだ。 閑静な住宅街に人通りはなかったけれど、どこかでかわいい子どもの声が、風に飛ばされ、とぎれ…