かきがら掌編帖

数分で読み切れる和風ファンタジー*と、読書・心理・生活雑記のブログです。

2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

休みの日は常備菜作り

今週のお題「休日の過ごし方」 職場のランチはお弁当派です。メインのおかずは前日の夕食の残りもの、というか、先にお弁当の分を取り分けておくので、どちらが残りなのかは微妙なところですが。 副菜2品、金時豆のサラダと、割り干し大根の漬物を休日に作…

ミラクルズ(創作掌編)

近所のベルギービール・カフェで食事をするのは、和樹にとって週に1度の楽しみだ。 平日は仕事がいそがしく、帰りが遅い。土曜日にはのんびり朝寝をして、掃除や洗濯、買い物、こまごまとした雑用を済ませると、もう午後の日は傾きはじめている。 和樹はい…

呪文、掛け声、ゲシュタルトの祈り

私は、考えごとを対話型でしている。脳内会話というものらしい。場合によっては、脳内会議になっていることもある。言葉のやりとりはごく自然に、絶え間なく続いていて、止むのは眠る時と、何かに集中している時くらいだ。 みんなそうだと思っていたので、中…

ガラスの小石(創作掌編)

僕の宝物は、ガラスの小石だった。1500万年前、巨大な隕石が地上に落下した時、すさまじい衝撃と高温のなかで生まれた、天然のガラスだ。 小学校の夏休み、自然博物館のミュージアムショップで、貯めいていたお金をはたいて買った。ざらざらとして黒っぽ…

イギリス~推理小説と児童文学の国~

今週のお題「行ってみたい場所」 ロンドン、ベイカー街221B 朝靄のなか、表には辻馬車が待っている。 「ワトソン、起きたまえ。ゲームが始まった!」 という、シャーロック・ホームズの声が聞こえる場所に行ってみたい。 アガサ・クリスティーの名探偵ミ…

酔っぱらう芙蓉(創作掌編)

上弦君とは、知人の仕事仲間という縁で知り合った。友だちというよりは、一方的になつかれて、相談相手になっているという間柄だ。 今日も、「ナミさんの意見を聞かせてもらいたくて」と連絡があり、ビオ居酒屋で待ち合わせた。花の品種改良の仕事をしている…

イツァーク・パールマンの「Yes!」

クラシック音楽の知識は、中学校の授業止まり。成人してから足を運んだクラシック系のコンサートも、イ・ムジチ合奏団、ウィーン少年合唱団、あとは作品名も忘れてしまったオペラくらいで、すべて人に誘われてのことでした。 それくらいクラシック音楽から遠…

金色のアンコール(創作掌編)

楓さんの夫、惣吉さんは誕生日の翌朝、散歩の途中で倒れ、すぐさま病院に運ばれたが、救命治療のかいもなく帰らぬ人となった。 日本人男性の平均寿命に達して、1日も病みつくことなく、駆けつけた楓さんが見守るなか、静かに息を引き取ったのだ。 常々、惣…

生きている物語たち「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」

今週のお題「読書の秋」 「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」 ポール・オースター 編 ラジオ番組に全米のリスナーから寄せられた実話集であり、作家ポール・オースターが編んだアンソロジーでもあります。 「編者まえがき」に書かれている、この本の成…