今年もお花見は、昼休みに職場近くの桜並木を愛でに行くというコースでした。3月中に2回出掛け、写真もたくさん撮りました。
けれど昨日、スマホの写真データを見ていたら、ぽつんと1枚だけ別の桜の写真があり、撮った状況を思い出すのにやや時間がかかりました。撮影日付は1週間ほど前、そういえば、仕事帰りに月と桜を撮ったのでした。
満月まであと少しという月が、夕暮れの空に明るく昇っていました。
あ、月と桜……と思って立ちどまったものの、しみじみながめるより先にスマホを取り出して、撮り終えたらそのまま忘れてしまったようです。
心に余裕のない日々を過ごしているなぁと自省しました。
それでも写真を見ていると、いろいろ思い出します。
月に気づいたときの嬉しさや、桜との対照のおもしろさ、あたたかな春の空気に包まれている感覚などが、記憶に残っていました。
けれど、いちばん強く残っていたのは、
久方の 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ
百人一首にもおさめられている紀友則の和歌ですが、すごく好きな歌なのに、上の句がどうしても思い出せず、もやもやしながら歩いたことです。
月はおぼろではなかったけれど、頭の中がかなりおぼろげであったという話でした(笑)。