かきがら掌編帖

数分で読み切れる和風ファンタジー*と、読書・心理・生活雑記のブログです。

モルダバイトのオーダーメイドリング

 

2ヶ月ほど前、ネットショップでスフェーンという希少石のペンダントトップを購入しました。

衝動買いでしたけれど、届いた実物と対面してとても気に入り、うきうきしながら手持ちのネックレスチェーンに通そうとすると…、通らない。

ペンダントトップのチェーンを通す部分を「バチカン」、チェーンの留め具を「プレート(あるいは、板ダルマ)」といいますが、バチカンの内径よりプレートの幅が大きかったのです。

 

 

他のチェーンで試みても、同様の結果です。さて、困った。

そういえば、10年近く前にも同じことがありました(進歩なし💧)。そのときは、たまたま近所に知っているお店があり、相談してみたら、バチカンに通るようプレートの端を削ってくれました。ただし本業外のサービスだったので、長年ご無沙汰している現在、またお願いするのはちょっと無理な感じです。

 

ペンダントトップを購入したネットショップでは、別売りのチェーンも販売されています。その商品ならプレートのサイズは間違いないでしょうし、自分が持っていないカットボールチェーンという種類だったので「買おうかな?」という気になりかけました。

しかし、カットボールチェーンの特徴として説明されているのが、キラキラと輝いて美しい反面、他のチェーンと比べて強度はやや低め、というのが気になる点です。そこで、切れてしまった場合どうすればいいのか検索してみると、チェーン切れの修理を扱うお店がいくつも見つかりました。

 

そのなかに、ホームページの内容がしっかりしてわかりやすく、クチコミの評価も高いジュエリーリフォーム・修理の専門工房がありました。

店舗情報を見ると、自宅から3駅ほどの行きやすい場所なので、もしカットボールチェーンが切れてしまったとしても、こちらに持ち込めばいい──、

ん?むしろ、プレートの件をこそ依頼すればいいのでは!と思い至りました。

 

さっそくLINEで問い合わせたうえ、お店を訪ねて現物を見せたところ、3つの修理方法を提案してもらいました。

  1. プレートをチェーンからいったんはずし、ペンダントトップを通してからロウ付けしてつなぎ直す。※ただし、チェーンの使い回しはできなくなる。
  2. プレートを小さなサイズのものと付け替える。
  3. ペンダントトップのバチカンをもっと大きなものにデザインリフォームする。

ちなみに、下へいくほど、加工代金は高くなります。

私は、2番目のプレート交換を選びました。

 

 

これで問題はめでたく解決したわけですが、お店のホームページに載っている、豊富なジュエリーリフォームの実例を眺めているうち、あることを思い出しました。

ひとつは、昔々、叔母からもらった金の指輪です。

かまぼこ型と呼ばれる甲丸リングで、サイズが合わないため、ずっと仕舞い込んだままになっています。

もうひとつは、昔、天然石をあれこれ買い集めていた頃に、あてもなく購入したモルダバイトのルース。

モルダバイトはおよそ1,450万年前、巨大な隕石が衝突した際に生成されたといわれる、美しい緑色の天然ガラスです。もともと色付きガラスが好きなので、モルダバイトのワインボトルのような、深いグリーンに惹かれました。

宇宙と地球のエネルギーが融合した物質として、強力なパワーを感じ取る愛好者も多いようです。残念ながら私にその感知能力はありませんが、こういうおもしろい物語を持っている石は大好きです。

 

プレート交換を頼んだお店の工房では、伝統的な鍛造製作法を取り入れており、形見の指輪などの地金を溶かして再利用することができるといいます。

そこで、長らく「秘蔵」してきたふたつの品を合体させて、日々身に着けられる指輪に再生してもらいました。

 

 

指輪のオーダーメイドは初めてなので、いろいろ心配しましたが、完成品を手にしたときは感無量でした。

それなのに一方では、「無駄遣い」とか「もったいない」という言葉が頭をよぎってしまうのが、貧乏性の哀しいところ…。ですがまぁ、この2~3年ありえないようなストレスにさらされてきた心身にとって、こういう「遊び」も必要だったんだ!と自分自身を説得中です(笑)。