かきがら掌編帖

数分で読み切れる和風ファンタジー*と、読書・心理・生活雑記のブログです。

長い時間をかけて

 

先週の土曜日、予約していた成分献血に行ってきました。

睡眠と食事をしっかりとって、本人確認書類を携え、準備万端で訪れた献血ルームは、近未来的な内装からイメージしていたのとは違い、とても活気がありました。

マスク着用、手指消毒、非接触体温測定、フィジカルディスタンスなど、新型コロナウイルス対策も万全です。

 

初めての献血になるので、スタッフの方から丁寧な説明を受けたうえ、申し込み用紙に記入し、本人確認、献血の副作用や血液の利用目的などについての同意を経て、受付を済ませます。その後、タッチペンで画面に入力する方法で問診票の質問事項に回答しました。

ロッカーに荷物をしまって、全自動血圧計で血圧を測り、ドクターの問診を受けた後、看護師さんが少量の採血をして測定や検査を行います。さらに、初めての成分献血だったので、心電図もとりました。

 

採血前から採血後の休憩時まで、水分補給(なるべく温かい飲み物で・採血前は特に)を強く勧められます。ルーム内には無料のカップ自動販売機が設置されており、「あたたかい」と「つめたい」の他に「ぬるい」があったのには感激しました。「ぬるい」を選ぶと、ホットドリンクがあまり熱くない温度で出てくるので、高温が苦手な猫舌人でもすぐに飲み始めることができて、ありがたい限りです。 

 

成分献血では、成分採血装置を使用して血小板や血漿といった特定の成分だけを分離し、回復に時間のかかる赤血球は再び体内に戻します。そのため、全血献血なら10分~15分のところ、成分献血は40分~90分と時間がかかりますが、身体への負担が軽い採血方法です。

今回は50分くらいでした。採血用のベッドにはテレビが備えつけられていて、希望すれば雑誌なども読めます。

看護師さんがそばにいて優しく気づかってくれるので、とても心地よかったです。

 

献血を思い立ったときから、繰り返し頭に浮かんできた言葉が「アルブミン」でした。

もう十年以上前のことですが、母が最後の入院をしたとき、腹水を伴う全身性浮腫の症状が現れていました。利尿剤も効かなくなり、容体は悪化していく一方でした。

あれこれ調べて「アルブミン製剤」という血液製剤が有効らしいと知り、

アルブミン製剤を投与してくれないのだろうか……)

実際に投与されて効果を目の当たりにしてからは、

(もっともっと、毎日でも投与してほしい。どうして投与してくれないのだろう)

と、思い続けたものです。

アルブミンアルブミン……と呪文のようにつぶやいていました。

 

重苦しく恨みがましい思いは、長い間、お腹の底に埋まっていたようです。ここにきて再び浮上してきたその気持ちも、自分が献血することで収まるのではないかと期待していました。

けれど、採血ベッドに横になって周りを見渡し、落ち着いた様子で献血している他の人たちを見たとき、湧きあがってきたのは別の感情でした。

あのとき、母に投与されたアルブミン製剤は、生きている誰かの血液から作られたのだということを、情報としてではなく現実として知り、深い感謝を感じたのです。

 

心穏やかに採血を済ませた後は、休憩室でくつろぎながら「鬼滅の刃」のコミック本を読み、アンケート用紙に答え、献血Web会員サービス「ラブラッド」に登録しました。

そして、帰るときたくさんの記念品をもらいました。

 

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けんけつちゃんグッズ(かやおりふきん、洗濯ネット、カードミラー)とお菓子

 

愛の妖精「けんけつちゃん」は献血推進キャラクターで、「チッチ」がそのリーダーです。公式プロフィールによれば、好きな食べ物はソフトクリームで、好きな言葉は、

「ちょっとチクッとしますよ」

献血カードを入れる限定記念カードケースは、チッチがアマビエのコスプレをした「あまびえチッチ」でした。

 

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あまびえチッチは、2020年12月に「爆誕」しました☆彡゜