かきがら掌編帖

数分で読み切れる和風ファンタジー*と、読書・心理・生活雑記のブログです。

37兆2千億個の味方『はたらく細胞』

 

今年の夏は、アレルギー性の鼻炎に悩まされています。

医者に診てもらっていないので原因は不明ですが、「猛暑アレルギー」かもしれません。

久しぶりに薬局へ鼻炎薬を買いにいったら、抗ヒスタミン薬の中でも第2世代と呼ばれる、眠気や口の乾きが出にくいお薬が販売されていて、医療の日進月歩を感じました。

 

とはいえ、朝起き抜けにくしゃみ、鼻水、鼻づまりが一気に起こるモーニングアタックはなかなか治まらず、日中でもアレルギー症状が断続的に現れます。ボックスティッシュの消費は激しいし、のども痛くなるし、しょっちゅう鼻をかみに中座するので仕事にも差し障りがあるしで、とうとう季節はずれのマスク生活を送ることになりました。

真夏にマスクは暑苦しいですが、それで症状はずいぶんやわらぎました。

秋になっても改善しないようなら病院へ行こう、と思っています。

 

 

つい先日、テレビアニメ『はたらく細胞』がすごく面白いと勧められ、録画したもの何話か見せてもらいました。

【公式サイトより】

体内細胞擬人化アニメ『はたらく細胞TOKYO MXMBSBS11ほか各局にて毎週土曜日より絶賛放送中!
各サイトにて毎週月曜日より配信中!

 

Huluでも配信されていたので、他の回も視聴しました。 

原作は清水茜さんのコミック作品で、人間の体内にある細胞を擬人化し、コミカルであると同時に、本格的な世界観が構築されています。

主人公格のふたりは、新米赤血球(固体識別No.AE3803番)と白血球/好中球(固体識別No.U-1146番)で、「赤血球」「白血球さん」と呼び合っています。

 

 

人体の内部は、大きく複雑な街として描かれています。

血液循環によって、体中に酸素や二酸化炭素などを運ぶ赤血球は、赤いユニフォーム姿で、台車に荷物を載せ、宅配業者のように街中を駆けめぐります。

白い作業服の白血球(好中球)は、常にパトロールしています。ダガーナイフのような武器を使い、体内に侵入してきたウイルス、細菌などを駆除するのです。

 

第5話は『スギ花粉アレルギー』でした。

平和な体内に突然侵入してきた大勢のスギ花粉アレルゲン。

すぐに外敵侵入時の戦略司令官、ヘルパーT細胞へ報告されます。

花粉を異物と認識したヘルパーT細胞によって送りこまれたB細胞は、IgE抗体を噴射して、次々にアレルゲンを倒すのですが、抗体が大量に使われたことでマスト細胞(肥満細胞)が反応し、マニュアル通りに大量のヒスタミンを出してしまいます。

侵入を続けるスギ花粉アレルゲンを確認したマスト細胞は、さらにヒスタミン量を増やし、激しいくしゃみ、鼻水などの症状が引き起こされます。

すべては、異物を体外へ吹き飛ばし、洗い流そうとする自然な反応なのです。

その結果、スギ花粉だけではなく、その場にいるすべての細胞たちも、巻き込まれて被害をこうむり、大惨事になりました。

 

さらに追い討ちをかけるように体外から送り込まれくるのはステロイド。鼻炎薬の成分です。

細胞たちが擬人化されているのとは対照的に、ステロイドはロボットの姿をしています。敵味方関係なく攻撃し、有効成分切れになるまで暴れ続けます。

この未曾有の大災害は、記憶細胞により「スギ花粉がもたらす災い」「恐ろしい言い伝え」と記憶され、再度の侵入への備えが強化されるのです。

夏のあいだずっと、こんな騒動が体内で起きていたとは……。

 

花粉症などのアレルギー性鼻炎は、免疫システムの過剰反応、誤作動などと聞きますが、擬人化された細胞たちが、複雑な仕組みのなかで懸命にはたらいている姿を見ると、それも仕方ないかな、という気持ちになります。

むしろ、苦労をかけて相済まない、という思いです。

「それぞれが自分の仕事を全うしただけなのに、こんなことになってしまうとは……。こうなることがわかっていれば、いや、わかっていても、やるしかなかったな。どんな事情があろうと、職務放棄は許されない。それが俺たちの宿命」
白血球(好中球)のモノローグが胸に沁みました。

 

『人間の体のなかには、約37兆2千億個もの細胞たちが、毎日毎日、24時間365日、元気にはたらいています』 
 という、冒頭のナレーションを聞くたび、敬意と感謝を忘れず、自分の体を大切にしようと思ってしまう、健康にいい物語です。

 

  

 

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