かきがら掌編帖

数分で読み切れる和風ファンタジー*と、読書・心理・生活雑記のブログです。

耳栓のある暮らし

 

昔からあまり寝つきがよくなかったため、眠るときには耳栓をする習慣がつきました。

ここ何年かお世話になっているのは、無印良品のポリウレタン製耳栓です。

 

無印良品 耳栓(ケース付・日本製)

 

最近知りましたが、耳栓の性能を表す指標として「遮音値」というものがあるそうです。NRR(北アメリカを中心とした規格)やSNR欧州連合を中心とした規格)などで表されていて、数値の単位はdB(デシベル)。

無印良品の耳栓に遮音値は表記されていませんが、同じような商品を見ると、NRR値が30dBくらいでした。

これがどれくらいの遮音性能かといえば、

  騒音レベル
  80dB
…地下鉄・電車の車内など
 △30dB…遮音値
 ──────────────────────
  50dB…静かなオフィス

つまり、地下鉄の車内で、遮音値30dBの耳栓をすれば、静かなオフィスほどに騒音レベルが下がるというわけです。

 

さて──、

感染症対策の一環として、私の職場でも窓を開けての換気が行われるようになりました。

会社のビルは交通量の多い大通りに面しており、日に何度も緊急車両がサイレンを鳴らして通り過ぎます。さらに近隣のあちらこちらで建設工事が行われているため、外から入ってくる騒音は、50dBをはるかに超えているはずです。

要するに苦笑いレベルでうるさくて、仕方のないこととはいえ、かなりストレスを感じていました。

とはいっても、遮音性の高いポリウレタン製耳栓では通常の会話が困難になるので、職場には不向きです。

 

そんな折、ときどき訪問しているブログで「耳より」な記事を見つけました。

ブログの管理者は音過敏のある方なのですが、主治医から騒音域だけカットしてくれて会話は普通に聞こえるという耳栓を紹介され、半年ほど使ってみた結果「おおむね満足して愛用中」だとのこと。

その耳栓とは、WESTONE TRUユニバーサルイヤープラグ。

 

WESTONE TRUユニバーサルイヤープラグレクリエーショナル

 

アメリカで60年近い歴史を持つヒアリングケアメーカーの製品です。耳栓本体2ペア(L/Mサイズ)入りで、ノイズカット20dBのフィルター1組がついています。

Lサイズはちょっと私の耳には大きかったので、Mサイズを試したところ、音がこもって聞こえる感じはありますが、会話や電話応対など特に問題なくできました。

欲を言えば、色がもう少し目立たなくて、サイズも小さめのほうがいいかなと思い、ネット上で物色してみました。

 

次に購入したのは、Meilleur 聴覚保護具クオリネ(グリーン)。

材質はABS・シリコーン、フリーサイズで、カラーバリエーションもグリーン・ブルー・ピンクと3色あり、遮音値(SNR)は20dB。スウェーデン製です。

 

クオリネ グリーン


さすが北欧、デザインがかわいくて、ケースも使いやすかったのですが……、残念ながらサイズが合いませんでした。

品物が品物だけに、お店であれこれ試着できないのが、悩ましいところです。

 

めげずに検索を続けて、次に選んだのが、Crescendo イヤープロテクターMusic 20。

耳栓本体2ペア(L/Mサイズ)とフィルター1組のセットは、TRUユニバーサルイヤープラグと同じですが、Crescendoの方はサイズが気持ち小さめ、材質(熱可塑性エラストマー)は柔らかめで、Lサイズでも違和感なく使用できました。

色は目立ちにくい半透明の乳白色。私にとって理想的な耳栓です。

 

Crescendo イヤープロテクターMusic 20

 

メーカーの会社は、オランダのデルフト工科大学に私設された研究室で、聴覚保護や音響環境の実験から最終テストを行っているとのこと。

「Music 20」は、遮音値20dBの一般オーディエンス用ですが、その他にもプロのミュージシャン用や、キッズ用、睡眠用、ガーデニング用など、20種類以上のイヤープロテクターを生産しています。

使用感を確認したかったので、まずはいちばん低価格だった「Music 20」を選びました。

その後、遮音値15dBのオフィス用「Office 15」も追加購入。

 

Crescendo イヤープロテクターOffice 15

 

どちらも2,000円前後以上とけっこう高額ですけれど、水洗いできるので、ポリウレタン製の耳栓より長く使えそうです。遮音値15dBと20dBの差は、正直なところよくわかりませんが、状況に応じて使い分けていきたいと思います。

 

黒いフィルターがオフィス用

 

今回、参考として多くの商品レビューを読みましたが、聴覚過敏で困っている人がたくさんいることに驚きました。

聴覚が敏感なため神経が疲れるというレベルを超え、大きな音に動揺や苦痛を感じたり、また「ミソフォニア(音嫌悪症)」といって、咀嚼音や足音、キーボードのタイピング音など、特定の音に強烈な拒否反応が起きてしまう医学的な障害を持つ人も少なくありませんでした。それが原因で、家族といっしょに食事ができないとか、職場で仕事が手に付かないといった、人生に支障をきたすような症状です。

かつては、ガマンするか逃げ出すかしか選択肢がなかった人も、ハイテク耳栓の登場で、聴覚を保護しながら状況に適応できるようになったという現状が、商品レビューからも伝わってきました。

大きな仕事をしている小さな耳栓、私も感謝して使います。