ゲシュタルト療法のプレトレーニング期間中は、ずっと単発のワークショップに参加していたので、「ゲシュタルトのワークショップは初めて」という方と、ご一緒する機会が何度かありました。
そのなかのひとりから、田房永子さんのコミックエッセイを読んで、ゲシュタルト療法に興味を持ったと伺い、いつか読んでみようと思いながら、そのままにしていました。
2年半の時を経て──、
先日、読者登録をさせていただいている Mmcさんの、
「これまで読もうと思って読んでいなかった田房永子さんの毒母まんがを四冊、一気読みした……」
という記事を拝読し、
触発されて、私もようやく読むことができました。
- 作者: 田房永子
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2014/07/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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内容(「BOOK」データベースより)
私が太っているのは呪いのせい!?
鏡を見られない人、写真撮られるのが嫌いな人、必読!
運動や食事制限の前に、するべきことがあった!
母親や親戚、友達や恋人にいつのまにか植えられていた「私は太っていなければならない」という呪い。抜いてみたら、バラバラだった心と体がひとつになった―!
まるで、体が何かにのっとられた感じで、食べずにはいられないエイコ。
ある出来事にショックを受け、10ヶ月ものあいだ苦しんだ末、
──さすがにこれは、病院でみてもらってよいレベルなのでは…?
自ら判断して、精神科クリニックを訪れます。
処方された「不安をおさえる薬」を飲み、いくつかの症状はなんとなくおさまったけれど、「過食症」は治らず、
──自分がどうしてこんなに食べてしまうのか、理由をつきとめないと治らないんじゃないだろうか?
と考え、様々なセラピーや治療、ボディワークをリサーチして体験します。
そのうちのひとつが、ゲシュタルト療法でした。
プロの漫画家さんは本当にすごい。
ワークの流れと間合い、参加している人たちの表情や姿勢、心象風景、場の雰囲気など、とてもわかりやすく的確に描かれているのです。
ワークの最中にエイコは、すごくイヤな気持ちになり、無意識のうちに手をにぎりしめるのですが、ファシリテーター(促進者役のセラピスト)はすぐに気づいて、
「今、右手に力が入っていますね。右手がしゃべるとしたら何て言ってますか」
と言葉をかけます。
すると、エイコの右手は「殺してやる」と言いました。
「殺してやる!」
「そのくらい私は?」
「怒ってます!」
「怒りは体のどこにありますか」
「全身」
「それを感じてくださいね」
まさに、ゲシュタルト療法の真髄に触れるような、やり取りだと思います。
寝る前に数ページだけ読むつもりでしたが、一気に読み切ってしまいました。
その後、なんとなく寝付けないまま横になっていたのですが、奇妙なことが起こりました。
特に感情は動いていないのに、涙が流れるのです。涙はしばらくの間、はらはらと静かに流れ続けました。
とても不思議な感覚でした。
そして翌朝、キッチンに立っていて突然、
「あっ、しまった!」と思ったのです。
──その涙がしゃべるとしたら何て言ってますか?
と、問いかけるべきでした。
後の祭りですが、なんとも悔やまれます。