ゲシュタルト療法のワークを体験学習しているとき、たとえば「ことばの言い換え」のような、ちょっとした実践を、よくファシリテーターに提案されました。
ワーク中に繰り返しやっているうち、だんだん普段使いするようになって、習慣化してきたものが3つほどあります。
①「呼吸してますか?」と注意喚起する
イライラしたり、落ち込んだり、お決まりの感情や想念にとらわれてしまったら、いちど「今、ここ」へ帰るのが得策です。
そのために有効な手段が、しばらく自分の呼吸を意識してみること。
深呼吸してもしなくても、再びイライラに戻ってしまってもOKです。折に触れ「今、ここ」へ帰る反射的な行動パターンを作っておくと、多少なりとも心が楽になります。
私の場合、脳内ファシリテーターが、
「呼吸止まってない? 息してる?」と声をかけてくれる(イメージです)ようになりました。
②「BUT」を「AND」に置き換える
たとえば、
「彼のことは好きじゃないけれど、仕事を手伝った」を、
「彼のことは好きじゃない。そして、仕事を手伝った」と言い換えて、その違いを感じてみる。
「彼のことは好きじゃない」という感情と、「仕事を手伝う」という行為。
逆説の接続詞BUT「けれど、しかし、でも」を使うと、2つの事柄は対立しますが、並列の接続詞AND「そして」を使ってみると、ひとつひとつを同等な経験として意識しやすくなります。
「AND(そして)は『今、ここ』の世界を受け入れるからである」
ゲシュタルト療法の創設者フレデリック・パールズに師事し、後に来日して指導・実践を行ったポーラ・バトム博士のことばです。
③「~できない」を「私は~したくない」「私は~しない」と表現して、
自己責任をとってみる
「こんなことはできない」と思うとき、
「私は、こんなことはしたくない」あるいは「私は、こんなことはしない」と、言い換えてみます。
そうすると、
・物理的に不可能だから、できない
・ほんとうはしたいのに、やらない
・やりたくないから、しない
の内のどれかであることに気づきます。
3つとも目覚しい効能や即効性はありませんが、お気に入りの健康法のような感じで、気長に続けていくつもりです。
どうやら、気づいたことをあわてて「何とかしよう」と考えないほうがいいらしいのです。
「ただ、気づくだけでいい」と、長老ファシリテーターのしげさんも言っていました。
「気づきそのものが癒しである」
「気づきにはすでに変容が含まれている」
━━これはフレデリック・パールズのことばです。
パールズに師事したリチャード・プライスとクリスティン・プライスが発展させた、ゲシュタルト・アウェアネス・プラクティスというワークでは、
壊れているなら、なおさない
何に気づいても、すぐになおそうとするのではなく、まず「それ」と共にいる。
良いことも困難なことにも、「Yes、 ハロー」といって時間と空間を与える。
ということを実践しています。