アフタヌーンティーは、紅茶とお菓子などで午後のひとときを楽しむイギリス発祥の習慣ですが、日本ではどちらかというと、非日常的で特別なイベントとして話題になることが多いようです。
少なくとも私の脳内では、①ホテルのティールームや上品なカフェで、②3段重ねのケーキスタンドとポットサービスの紅茶をいただく(③予約は必須)というイメージでした。そのためか、昔からアフタヌーンティーに憧れがあったにもかかわらず、敷居が高いと感じて先延ばしにしてきました。
──話はそれますが、「敷居が高い」の本来の意味は「相手に不義理などをしているため行きにくい」であり、上記のような使い方は誤用と聞いたことがあります。
誤用であったとしても「高級すぎたり上品すぎたりして入りにくい」感じを「敷居の高さ」で表現するのは、なかなか言い得て妙だと思っていたのですが、ある調査の結果で、同様な人は少なからず存在し、しかも年々増加していると知りました。
そんな折、とても評判のよいお店があると教えてもらいました。
イギリスのカントリーサイドにある小さなティールームのイメージして作られたという、日本橋人形町の「Tiny Toria Tearoom(タイニートリアティールーム)」です。
これでようやく念願がかなうと喜びつつ、さっそくお店のホームページから「カジュアル・アフタヌーンティー」のセットをオンライン予約しました。
実際に訪れてみると、クチコミの高評価そのまま、ほんとうに居心地のいい素敵なお店でした。
憧れの3段重ねトレイに載っているのは、下から順に、サンドイッチ3種とオレンジゼリー、クロテッドクリームとジャムを添えたスコーン、ケーキ(本日のケーキから、それぞれ好きなものを選びます)。ポットサービスの紅茶は、英老舗茶商テトリーのブレンドティーです。
スコーンは食べる直前に温め直してくれるので、まさに出来たての味でした。
同行者もミステリ好きだったため、アガサ・クリスティーのミス・マープルシリーズのことなど語り合いながら、ゆったりと満ち足りた時間を過ごすことができました。
- クロテッドクリーム:バターと生クリームの中間のようなクリーム。脂肪分の高い牛乳を加熱してゆっくり冷やし、表面で「凝固した=クロテッド(Clotted)」乳脂肪分を集めて作る。英国デボンシャー州に伝わる伝統的なクリーム。
- クリームティ:ポットの紅茶とスコーン・ジャム・クロテッドクリームのセットのことで、イギリスのティールームの定番メニュー。(ウィンナコーヒーの紅茶版ではない)
- セイボリー:アフタヌーンティーのセットのなかで、サンドイッチやキッシュのような塩気のある軽食のこと。
なるほど! わが家でもお茶の時間、甘いお菓子の他におせんべいやあられなどの「しょっぱい系」を用意しますが、あれはセイボリー的な存在だったわけですね。
※ お店のディスプレイのなかに、ウィリアム・モリスの『いちご泥棒』を発見。