かきがら掌編帖

数分で読み切れる和風ファンタジー*と、読書・心理・生活雑記のブログです。

グラナダ版ホームズと「いちご泥棒」

 

人生何度目かのシャーロック・ホームズブーム中ですが、今回の目玉はYouTubeのホームズ朗読チャンネルと「グラナダ版ホームズ」になっています。

グラナダ版ホームズは、英国のグラナダ・テレビジョンが1984年から1994年にかけて製作した、シャーロック・ホームズシリーズを原作とするテレビドラマです。日本ではNHKで放送されており、私もちらっと見た記憶はあるのですが、なぜか当時はあまり関心を持ちませんでした。

けれど今、インターネットでホームズの情報を見ているうち、グラナダ版ホームズについて「最高のホームズ役」とか「最も原作に近い映像作品として世界中のファンから称賛」などの高い評判を知り、また、熱心なファンの方のブログを拝読して、俄然興味がわきました。

 

残念ながら、私が契約している動画配信サービスでは配信されていませんでしたが、YouTubeで『第二の血痕』の吹き替え版を視聴することができました。確かに原作の雰囲気を見事に映像化している印象です。

ブルーレイの全巻揃ったBOXだとかなりのお値段になるのでためらいましたけれど、結局は「好き」が勝って購入を決定。ワトソンをホームズの引き立て役ではなく、対等のパートナーとして描いている、というところが決め手になりました。

昔から、どちらかというとワトソン贔屓なのです。

 

 

ブルーレイBOXが手元に届き、いざ!視聴と思ったら、ノートPCに接続した外付けドライブがディスクを認識してくれません。それもそのはずで、ブルーレイには非対応の機器でした…。

急遽、再奮発して外付けブルーレイドライブを購入しました。合算するとずいぶん大きな買い物になりましたが、それだけの価値はあったと確信しております。

週末や休日に一話ずつ、すごく楽しんで視聴しました。

いわゆる「正典(聖典)」と呼ばれるホームズ作品は全60話ですが、グラナダ版ホームズはそのうち41話を映像化しています。数ヶ月かけて一巡し、今は二巡めの途中です。

 

大切なブルーレイBOX、キズやホコリがつかないように紙の手提げ袋に入れていましたが、もっとグラナダ版ホームズにふさわしい収納をしたいと思うようになりました。

イメージしたのは、シャーロック・ホームズを彷彿とさせるような柄の布製ポーチです。

あれこれネットショップを見て回り、ついに見つけたのが、前回記事にした「minne(ミンネ)」というハンドメイドマーケットに出品されている、大きなサイズの巾着ポーチ。裏地付きのしっかりとした作りで、生地はウィリアム・モリスの代表作のひとつ「いちご泥棒」という、美しいテキスタイルデザインです。

 

minne.com

 

ウィリアム・モリス(1834-1896)は、イギリスのデザイナー、詩人、社会思想家、出版家で「モダンデザインの父」と称されています。

役に立たないもの、美しいと思わないものを家に置いてはならない。

Have nothing in your house that you do not know to be useful, or believe to be beautiful.

という言葉を遺しました。

ホームズが1854年、ワトソンは1852年の生まれと推定されているので、同じ時代を生きた人といえるでしょう。

さらに『いちご泥棒(Strawberry Thief)』という作品名に「事件」を感じさせるところも、グラナダ版ホームズにぴったりだと思いました。

 

サイズもぴったり

 

最適な収納袋を見つけたものだと、ひとり悦に入っていたある日、YouTubeの朗読で『赤毛連盟』を聴いていると、突然「ウィリアムモリス」という言葉が出てきてびっくりしました。ある登場人物の変名として使われていたのですが、これまで何度となく、本・朗読・映像で接してきた『赤毛連盟』に、同姓同名の名前が出てくることに初めて気づいたわけです。

 

ここに「ウィリアムモリス」の名前が登場することについては、すでに研究家のあいだでさまざまな考察がなされているらしく、「アイリッシュフランケンシュタインと『赤毛同盟』:コナン・ドイルアイルランド問題」(岐阜聖徳学園大学 角田信恵:著 2011年)という論文も公開されていました。

ただ私としては、自分が選んだ「いちご泥棒」の作者であるウィリアム・モリスの名前が、ホームズ作品にも登場していたという偶然の一致を、単純に喜びたいと思います。