『クリミナル・マインド FBI行動分析課』は、2005年秋に始まったアメリカのテレビドラマで、現在はシーズン13が米CBSネットワークで放送中とのことです。
FBIの行動分析課(BAU)に所属するプロファイラーがチームを組み、シリアルキラーなどの特殊犯罪を捜査し、行動科学的に犯人像を分析して解決する、1話完結型のドラマ。
事件現場を管轄する警察やFBI支局からの要請により、専用ジェット機で全米各地に飛ぶので、大都市から辺境の地までが舞台となっているのも見所です。
非情で凄惨な犯罪には目を背けたくなりますが、『クリミナル・マインド』の魅力は何といっても、レギュラーメンバーのキャラクターとチームワークの素晴らしさにあると思います。
また、始まりや終わりのシーンで、毎回さまざまな格言のナレーションが入るのですが、ドラマの内容に沿った言葉が、登場人物の声で語りかけられるので、とても印象的です。
格言を引用するにあたり、ファンにとって感謝してもしきれない、こちらのサイトを参考にさせていただきました。ありがとうございます。
シーズン1‐第1話「シアトルの絞殺魔」
邪悪さとは超自然的なものから生まれるわけではない。人間そのものに悪を行う力があるのだ。(ジョゼフ・コンラッド)
おまえが深淵を覗き込むとき、深淵もおまえを覗き返している。(フリードリヒ・ニーチェ)
初回だけあって、まさに『クリミナル・マインド』の全シーズンに通低する格言です。
異常犯罪者の心の闇や、犠牲となった人たちの苦痛と向き合うことで、プロファイラーたちは計り知れない精神的ダメージを受けます。観ているほうも感情移入してつらくなりますが、救いとなるのは家族や仲間との絆、そして、ユーモアあふれる会話とエピソードなのです。
同じ第1話のなかで、台詞による格言の応酬シーンがあるのですが、何度観ても楽しい。
BAUの創設者にして伝説的なプロファイラーでもあるギデオンが、若手プロファイラーのモーガンに、
やってみろ。しくじったら、うまくしくじれ。(サミュエル・ベケット)
「やってみる」のではない。「やるか、やらぬか」だ。(ヨーダ)
思わず「10秒巻き戻し」して、もう1度観たくなるシーンです。
BAUの捜査官たちが、過酷な任務に立ち向かっていけるのも、
シーズン4 第17話「悪魔払い」
悪を罰しない者は、悪を行えと言っているのだ。(レオナルド・ダ・ヴィンチ)
シーズン7 第22話「プロファイラー入門」
悪人にとっての勝利は、善人が何もしないことだ。(エドマンド・バーク)
という、信念あってのことなのでしょう。
格言の作者、発言者は、ほんとうにバラエティ豊かです。
①心理学界の三大巨匠。
シーズン4 第12話「ソウルメイト」
秘密を守り通せる人間はいない。口を堅く閉じれば、今度は指先がしゃべり出す。全身から真実がにじみ出るのだ。(ジークムント・フロイト )
シーズン7 第12話「ピアノマン」
トラウマは苦しみの源とは限らない。それぞれの目的に沿ったものをもたらすのだ。(アルフレッド・アドラー)
シーズン8 第21話「子守キラー」
子供は、大人の言葉ではなく人となりから学ぶ。(カール・ユング)
➁英米政治家の競演。
シーズン10 第2話「地獄めぐり」
遠い過去まで振り返ることができれば、遠い未来まで見渡せる。(ウィンストン・チャーチル)
しがみつくより手放す方が、はるかに力を必要とする。(J.C.ワッツ)
③まるで呼応しているようなノーベル賞受賞者の言葉。
シーズン4 第6話「幼児誘拐」
本当に自然なものは夢だ。夢だけは腐ることがない。(ボブ・ディラン)
シーズン9 第5話「66号線」
人生は夢、かなえなさい。(マザー・テレサ)
➃英訳→再和訳で原形がわからなくなった気がすることわざ。
シーズン8 第6話「殺しの教室」
独学で千日学ぶより、一日良き指導者につけ。(日本のことわざ)
⑤登場回数の多い偉人ふたり。
シーズン1 第2話「キャンパス連続放火犯」
想像力は、知識よりも重要だ。知識には限界があるが、想像力は世界さえ包み込む。(アルバート・アインシュタイン)
シーズン9 第10話「いたずら電話」
人間性に絶望してはならない。我々は人間なのだから。(アルバート・アインシュタイン )
シーズン2 第5話「消えない傷跡」
世の中は苦難に満ちているが、またその克服にも満ちている。(ヘレン・ケラー)
シーズン6 第12話「魂を呼ぶ者」
人生でもっとも素晴らしく美しいものは、目に見えないし触れることもできない。心で感じ取るしかないのだ。(ヘレン・ケラー)
⑥シーズン1からシーズン10まで、印象深い格言の数々。
シーズン1 第10話「悪魔のカルト集団」
思想は人の間に壁を作り、夢や悩みは人を結びつける。(ユージーン・イヨネスコ)
シーズン2 第4話「サイコドラマ」
素顔で語るとき、人は最も本音から遠ざかるが、仮面を与えれば真実を語り出す。(オスカー・ワイルド)
シーズン3 第19話「記憶を失くした殺人犯」
かつてのあのまばゆいきらめきが、今や永遠に奪われても、たとえ二度と戻らなくても、あの草原の輝きや、草花の栄光が還らなくても嘆くのはよそう、残されたものの中に力を見出すのだ。(ウィリアム・ワーズワース )
シーズン4 第14話「愛しき骸」
信じる者に対して証拠は不必要である。信じないものに対して証明は不可能である。(スチュアート・チェイス)
シーズン5 第12話「人形の館」
人生はチェスとは違う。チェックメイトの後もゲームは続くのだ。(アイザック・アシモフ)
シーズン5 第14話「仮面の男」
私の持っているものが私を意味するなら、それを失ったときの私は何者なのだろう。(エーリッヒ・フロム)
シーズン6 第13話「殺人カップル」
苦悩に対する憤りは、苦悩自体に向けられるのではなく、その意味のなさに対するものである。(フリードリヒ・ニーチェ)
過去に体験した苦痛は、今日の自分と大いに関係がある。(ウィリアム・グラッサー)
シーズン7 第6話「よみがえり」
死というのは物語の終わりと同じ。タイミングによってそれ以前の出来事の意味がかわる。(メアリー・キャサリン・ベイトソン)
シーズン7 第10話「血に染まった拳」
誰もが天国に行きたがるが、死にたがる者はいない。(ジョー・ルイス)
シーズン8 第3話 「家族ゲーム」
行動とは、その人の本当の姿が映し出される鏡である。(ゲーテ)
シーズン8 第15話「622」
世界は全ての人を壊し、多くの人は壊された場所が強くなる。(アーネスト・ヘミングウェイ )
シーズン9 第13話「帰郷」
許すことで過去は変わらないが、未来が広がるのは確かである。(ポール・バーザ )
シーズン9 第22話「テセウスの迷宮」
縛り首になる定めの者が、溺れ死ぬことはない。(ことわざ)
人はしばしば、運命を避けようとした道で、その運命と出会う。(ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ)
シーズン10 第1話「容疑者X」
私は頭の中にとどまりすぎて、正気を失ってしまった。(エドガー・アラン・ポー)
シーズン10 第8話「サドワース・プレイスの少年たち」
人があなたをどう扱うかはその人の宿命だが、どう反応するかはあなた次第だ。(ウェイン・ダイアー)
先月Huluでシーズン11が配信開始となり、毎日1話ずつ大事に視聴しました。
そしてまた、心に残る言葉と出合いました。
シーズン11 第5話「暗闇のアーティスト」
庭には、植えたつもりのない物の方が多く育っている。(スペインのことわざ)
おもしろいことわざです。いろいろ想像が広がりました。
ドラマの中では、殺人に至る衝動が育っていたわけですが、そういう破滅的なものばかりとは限りません。
見慣れすぎていて気づかないだけで、よく観察してみれば、風に乗って飛んできた種や、旅人の靴底から落ちた種が、思いがけない花を咲かせているかもしれないのです。