今年3月から、毎月のように参加しているフォーカシングのオンラインセッションは、「フォーカシングを楽しむ会~東京~」の方たちが開催されているワークショップです。
先月は久しぶりの対面開催ということで、早々に申し込みを済ませて心待ちにしていましたが、いざ当日となると、緊張しやすい性格のためすごくドキドキしてきて、
「いや、これはワクワクと言い換えることもできる」と、ポジティブ変換しつつ会場へ向かったのでした。
「楽しむ」会というネーミング通り、自由で風通しのよい会ですから、私のように小心な初心者でも、楽しく通い続けることができています。
さらに、安心安全な場であるために、
- ここで知り得た他の人の話をよそで口外しない。
- 自分が言いたくないことは言わない。やりたくないことは無理してやらない。
- オンラインセッションで画面の撮影はしない。
ということをきちんと伝えてくださいます。
「口外」についてですが、自分自身の話ならば大丈夫なので、今回、私にとって初の対面セッションで体験した『アニクロ』というワークについて書きます。
とてもおもしろいワークでした。
『アニクロ』(アニマルクロッシング/Crossing with Animals)は、自分がどのように生きているかを動物に喩えてみるという、フォーカシングのワークです。
話し手(フォーカサー)と聴き手(リスナー)のペアで行います。まずフォーカサーが、今の自分を動物に喩えるとしたらどんなふうなのか語り、リスナーは感じたことや疑問に思ったことを伝えます。フォーカサーとリスナーのやりとりのなかで、動物のイメージが深まったり、変化したりしながらワークは進んでいくのです。
一定の時間が過ぎたらワークを終了し、それぞれの体験や感想を述べ合った後、フォーカサーとリスナーの役割を交代します。
対面ワークショップで『アニクロ』をすることは、事前にメールマガジンで知ったのですが、そのときぱっと浮かんだのは「コウモリ」でした。えっ、そうなんだ⁉でも本番ではどうかな?と思っていたら、本番でもやっぱりコウモリでした。
そのコウモリは、洞窟の小さな巣穴にひとりで棲んでいて、毎日のように外界へ出かけていきます。動物(哺乳類)の世界へ行くときは、翼をたたみ地に足のついた動物として過ごし、鳥の世界へ行くときは、動物であることを隠して、鳥の仲間のふりをしていました。
(どっちつかずのひきょうなコウモリであることがバレたら大変だ)と、いつもびくびくしているし、そんな自分を恥じ、後ろめたく思っていたのです。
というようなことを語りながら、ついつい習い性で、掌編的な落としどころを探して、ストーリーを組み立てていました。たとえば、動物か鳥かどちらかでなければならない、というのは自分の思い込みにすぎず、落ち着いてまわりをながめれば、みんな多かれ少なかれコウモリみたいな生き方をしていることに気づいた、とか──。
ところが、リスナーのかたが発した、
「そのコウモリは、どんな姿をしているのですか?」という質問で、ワークの流れががらりと変わります。私は考える間もなく答えていました。
「顔はコウモリ、からだは人間で、洋服を着ている」
「ちなみに、一人称は“俺”」
頭のなかで作っていた平面的なストーリーを押しのけ、突然、強力なキャラクターが飛び出してきた感じです。
「俺、コウモリだからさ、どっちつかずとか関係ないよ」
「動物社会では、翼をたたんでスーツ姿で仕事してる。けど、今日はちょっと動物やりすぎて疲れちゃったな~」
「あれ? スーツから翼がはみ出てた。まーいっか、だってこれが俺だから!」
みたいに、気分よくべらべらとしゃべっていました。
なかなか不思議な感覚でした。演じているのでも、なりきっているのでもなく、今まで気づかなかった自分の一部分を体験しているという感じでしょうか。
いつものフォーカシング・セッションでは、時間をかけて集中しながら、まだ言葉にならない「からだの感じ」に触れていきますが、『アニクロ』は動物に喩えることで、一種の気軽さや遊び心が生まれ、あまり構えることなくワークに入っていけるという魅力がありました。
元気なコウモリの『アニクロ』がとても楽しかったため、何か記念になるグッズが欲しくなり、あれこれ探して見つけたのは、↓↓↓
ハンカチポーチです。アクセサリーなどの小物を持ち運ぶのによさそう。しかも、コウモリの翼が好きな紫色💜
コウモリについては、イソップ寓話の『ひきょうなコウモリ』
──昔、獣と鳥とのあいだで戦争がおきたとき、コウモリは戦況を見ながら、「私は毛が生えているから獣です」といって獣についたり、「私には翼があるから鳥の仲間です」といって鳥の方へ寝返ったりしていたので、戦争が終わった後、鳥からも獣からも嫌われて仲間はずれにされた──
というお話のイメージが強く、実際のコウモリがどんな生き物なのかはよく知らなかったので、図書館で本を借りてきました。まだ読みかけですが、非常に興味深い内容なので、いずれ記事にしたいと思います。