かきがら掌編帖

数分で読み切れる和風ファンタジー*と、読書・心理・生活雑記のブログです。

座禅会で“反応しない練習”

 

『反応しない練習』(KADOKAWA 2015/7)の著者、草薙龍瞬(くさなぎりゅうしゅん)さんは、宗派・伝統に属さない“独立派”の出家僧で、仏教を宗教としてではなく、
ブッダが説いた「現実の問題解決に役立つ合理的な方法」として紹介されている方です。

 

悩みを作り出すのは、心の反応。ムダな反応を増やさないための「練習」としては、

①心の状態、体の動作を、客観的に言葉で確かめる習慣を身につける。

②呼吸をしているときの鼻先やお腹の感覚、歩いているときの足の裏の感覚など、体の感覚に意識を向けて感じ取るようにする。

などがあります。

 

 これらの二つの方法──①言葉で確認する、②感覚を意識する──は、ブッダが生きていた時代には「サティ」(sati)と呼ばれていました。禅の世界では「念じる」、瞑想の世界では「マインドフルネス」と呼ばれています。

 心の状態をよく見ること、意識すること。そのことで、ムダな反応は止まり、心は静まり、深い落ち着きと集中が可能になります。

   ~第1章 反応する前に「まず、理解する」~

 

本を読んだのは4~5年前ですが、当時は瞑想的なことに苦手意識があって、実践まで至りませんでした。

けれど、このごろは瞑想にも少しずつ馴染んできたので、ぜひ再読しようと思っていたところ、著者ご本人の朗読によるオーディオブック版があることを知りました。

 

 

初めてのオーディオブックでしたが、本を耳で聴くというスタイルは、今の自分に合っているようで、しばらくのあいだ繰り返し聴いていました。

語りかけの力は大きいです。文字を読むのとは別の楽しさ、温かみがあります。

 

 

草薙龍瞬さんは「座禅エクササイズ」という座禅会を定期的に開いています。

先日、午後6時から9時までの「夜の座禅会」に参加してみました。

会場は公立の生涯学習館の和室です。座布団と椅子、どちらでも選べたので、椅子にさせてもらいました。参加者は十数人、オープンな雰囲気で、草薙さんの口調も表情も明るく穏やかですが、場の空気は引き締まっています。主催者の本気さが、ひしひしと伝わってくる感じでした。

 

ホワイトボードを使ったレクチャーの後、実践に入ります。

座り方や作法などの「形」ではなく、こころの働かせ方を学ぶことをメインにした、立つ・歩く・座るという禅の体験です。

歩く禅では、足の裏の感覚に意識を向け、「上げている」「運んでいる」「下げている(踏んでいる)」と、言葉で確認しながら一歩一歩進みます。参加者がそれぞれたたみ一畳のスペースを、行ったり来たりして歩きました。

照明の消された部屋で、窓からの薄明かりを頼りに人影がゆっくりと歩きまわり、たたみを踏む音が静かに聞こえてくる──、非日常的な時間でした。

 

それにしても、自分でもどうかと思うくらい、よろよろ歩きだったです。

体の動きがゆっくりなのに、気持ちだけ先へ先へと急いでしまう。うまく歩こうとして力が入り、かえってふらつく。そんなこんなで、バランスが崩れているのを感じました。

歩く禅と坐る禅、どちらも20分くらいで、2回ずつ計4回、体験学習することができました。その他に、質疑応答や座談の時間もあり、とても充実した内容でした。

 

質問コーナーで、

「静坐瞑想をしていると、異常なくらい眠くなるので、ヨーガ瞑想に変えたのですが、あくまで眠気と闘ったほうがいいでしょうか?」

と尋ねたところ、

「闘っても、眠気には勝てません」と、即答いただきました(笑)。

本格的に修行している人でも、眠気に襲われることは珍しくないそうです。

初心者で眠気が強い場合は、眠くなりにくい、動きのある禅を練習して、気づきの力をつけていくのがよい、と教わりました。たとえば──、

「歩く禅を1時間、2時間」

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「20分じゃダメですか?」

とは、聞けませんでした。

 

一人でやっていると、「これでいいのかな?」と心配になったり、「まぁ、いいか」と適当に流してしまったりが多いので、時にはこういう場に足を運び、気持ちを新たにすることも必要だと思いました。