かきがら掌編帖

数分で読み切れる和風ファンタジー*と、読書・心理・生活雑記のブログです。

ユニコーンの角 ~「普通がいい」という病~

「普通」とは、使い勝手の良い言葉だと思います。 平常であることの安心感や、主流派の心強さを表せます。どこか謙虚だけれど、卑下しているというほどではなく、時代や環境によって変わる幅広さも持っています。 その反面、否定的に使われると、急に表情が…

ゲシュタルト療法「Why」より「How」

ゲシュタルト療法という心理療法を習っていました。 一緒にトレーニングコースを受講していたメンバーは、セラピストやカウンセラー、医療関連の仕事をしている人などが多かったです。 私の場合は個人的興味だけだったので、専門的なアドバンスコースに進む…

アーシュラ・K・ル・グィンさんを偲んで

最初に出会ったル・グィンさんの物語は『ゲド戦記』3部作で、その後「米SF界の女王」であることを知り、一連のSF作品を読んだ。 『ゲド戦記』と同じくらい心に残っているのが、『風の十二方位』という短編集だ。 風の十二方位 (ハヤカワ文庫 SF 399) 作…

河合隼雄著『「出会い」の不思議』が開く扉

先月、河合隼雄さんについて記事を書いたとき、この『「出会い」の不思議』をまだ読んでいないことに気づき、タイトルにも引かれ、図書館から借りてきました。 「出会い」の不思議 作者: 河合隼雄 出版社/メーカー: 創元社 発売日: 2002/05 メディア: 単行本…

エンプティチェアとインナーチャイルド

ゲシュタルト療法のワークショップでは、参加者のワーク内容、ワークショップ内で知り得る個人情報について、一切外部に漏らさないこと、本人の同意なしには、いかなる公表もしないことを約束します。 自分のワークについてなら公表できるので、備忘も兼ねて…

機会

数十年来の河合隼雄ファンですが、ついにご尊顔を拝することは叶いませんでした。 機会はあったのです。 文化庁長官在任時に講演のお知らせを目にして、場所も近く、テーマも児童文学ということで、ぜひ行きたいと思いました。 募集要項には「申し込みはファ…

河合隼雄著「明恵 夢を生きる」を読むたびに思うこと

数十年来の河合隼雄ファンです。 その河合隼雄さんが「とうとう日本人の師を見出したという強い確信をもった」とまで敬意を表されたのが、鎌倉時代初期の名僧、明恵(みょうえ)上人です。 明恵上人が約40年にわたり夢を記録した『夢記(ゆめのき)』を、…

児童文学のなかのイマジナリーフレンド

イマジナリーフレンドという言葉を、読者登録させていただいている Emily-Ryu さんのブログ記事で、初めて知りました(ありがとうございます!) Wikipediaにも載ってました。 イマジナリーフレンド(英: Imaginary friend)とは、「空想の友人」のことであ…

生きている物語たち「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」

今週のお題「読書の秋」 「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」 ポール・オースター 編 ラジオ番組に全米のリスナーから寄せられた実話集であり、作家ポール・オースターが編んだアンソロジーでもあります。 「編者まえがき」に書かれている、この本の成…

「麴のちから!」~今は塩麹が私の必須食材です~

数年前ブームになっていましたが、私が塩麹を使い始めたのはここ半年くらいです。原材料が米麹と塩だけのものは、なかなかお店に置かれていないので、ネットで購入したりしています。 「麴のちから!」 山元 正博 著 100年、3代続いた麴屋に生まれ、頭の…

「一汁一菜でよいという提案」~図書館へ返す前に抜き書きしたくなる本~

図書館にリクエストしたら、すでに予約している人がたくさんいて、順番がまわってくるまで5ヶ月以上かかりました。 「一汁一菜でよいという提案」 土井 善晴 著 一汁一菜とは、ただの「和食献立のすすめ」ではありません。一汁一菜という「システム」であり…