ずいぶん前のことですが、カラスのことばを聞き分ける女性を主人公に、掌編を書きました。
toikimi.hateblo.jp
先日、朝の時間にラジオを流していたら、旬の話題のコーナーで「カラス語」の研究者について取りあげていたので、引き込まれて傾聴しました。
「事実は小説より奇なり」というか、進化しています。
「カラス語」を研究しているのは、総合研究大学院大学の助教、塚原直樹氏です。
研究を始めてから15年間で、2000以上の鳴き声を収集し、カラスの行動と照らし合わせて分類、犯罪捜査にも使われる「声紋」で視覚化して分析した結果、現在では40種類以上の「カラス語」が特定されているそうです。
代表的な「カラス語」が3つ紹介されました。
文字にするとわかりにくいのですが、
「カー、カー、カー」というのが、あいさつ
「カッ、カッ、カッ」が、危険、仲間に警戒を呼びかける
「かぁ~~、かぁ~~」は、安心、ねぐらに帰ろう
のような感じでした。
カラスについては、ごみ集積場所を荒らす以外にも、農作物への被害が深刻で、被害額は全国で年間16億円を超えるそうです。
専門家である塚原助教へも相談が寄せられ、それに応えて行ったのが、「カラス語」を使ってカラスを誘導する、という実験でした。
カラスが群がる街路樹に向けて、「カラス語」で「危険だよ!」という鳴き声を流し、少し離れた場所では「安全だよ~」という鳴き声を流したのです。
作戦は成功、街路樹のカラスを誘導することができました。
実用化に向けて、さらなる研究を進める塚原助教ですが、「カラス語」を使った誘導作戦は、学習能力の高いカラスとのだまし合い、知恵くらべだと、研究対象への対等感あふれるコメントが印象的でした。
ラジオを聴いているあいだも、外ではしきりにカラスが鳴いていました。
習いたての「カラス語」によれば、「カー、カー、カー」で、朝のあいさつだとわかりました。