図書館にリクエストしたら、すでに予約している人がたくさんいて、順番がまわってくるまで5ヶ月以上かかりました。
「一汁一菜でよいという提案」 土井 善晴 著
一汁一菜とは、ただの「和食献立のすすめ」ではありません。一汁一菜という「システム」であり、「思想」であり、「美学」であり、日本人としての「生き方」だと思います。
始めの方で述べられているとおり、ひとつの世界観を感じさせる本でした。
いちばん印象的だったのは、
私たちは日頃、ご飯を食べることを「食事する」と簡単に言いますが、そもそも「食べること」は「食事」という営みの中にあることで、単に食べることだけが「食事」ではありません。〔中略〕ものを食べるとなると、必ず一定の行動がともないます。その食べるための行為すべてを「食事」と言います。
というところです。
買い物して食材を用意し、下ごしらえして、調理する。そして、食べ終われば片付けをする。それらをひっくるめて「食事」であるということ。
「食べること」と、それ以外の作業を区別していた私の認識が、ひっくり返されたように感じました。
食べるのは好きだけれど、料理は不器用なせいで時間ばかりかかって疲れるし、後片付けもおっくうだ。それでも自分で作って食べなければ、という漠然とした義務感に追い立てられている気がしていたけれど、
「食べる」ということの大切さを心のどこかで感じ、無意識の身体で知っているから
だったんですね。納得しました。
私はそうとうな面倒くさがりですが、ほんとうに必要だと腑に落ちれば前向きになれるので、これからは毎日繰り返される「食事」という営みの意味を、確かめながら生活してみようと思いました。